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THE TOKYO TOILET_レポートの続き


THE TOKYO TOILET
とかく「暗い・汚い」と敬遠されがちな公共トイレを、著名クリエーターの
作品で変えていこうというユニークな取り組みが、東京渋谷区で進行中です。
この2月。全17ヶ所の作品のうち、その時点で完成した7ヶ所の作品に実際
足を運び、見学・使用したうえでの独自レポートしておりました。(前回へ

また2作品が新たに加わった、というところでレポートの追記です。



□鍋島松濤公園トイレ 隈研吾
  一般トイレ(男女兼用):1
  だれでもトイレ:1
  幼児用トイレ:1
  小便器ブース:2(うち1つは高齢者用)

渋谷の駅から文化村通りへ、猥雑な商業地区と閑静な住宅地を両脇に西に。
住宅地側にある鍋島松濤公園は、池と水車が印象的で緑豊かな公園でした。

建築は、外壁に無垢の木板をランダムに配しジャングルのような様相です。
周囲の木々の緑と呼応させようという意図でしょうが、その持出し金物は
ディテールが雑。ボルトも木の表面に丸見えです。
それでいて、手摺やハンドルといった直接手に触れるところは冷たい鉄製。
トイレブースの内部も、無垢の木が飾りつけはいるものの、窓のない狭い
倉庫内のような閉鎖感があります。これは、いただけないな。

たとえば、外壁に配された木板にしろ、内部に施された木片にしろ
これらが仮に無かったとしても、公共トイレとしての機能は完結している。
つまりこれは 『デザイン』 ではなく 『デコレーション』 です。

隈研吾さん。根津美術館など、胸のすく軽快な構造の作品もありますが、
この公共トイレでは、アプローチが違う。




 
 
○○○
 


□神宮前公衆トイレ NIGO®️
  男子WC 小便器:2 大便器:1
  女子WC 大便器:1
  だれでもWC 大便器:1

明治通り神宮一丁目の交差点の、アイキャッチとなる位置に計画されている。
ただ、無愛想な妻面を交差点に向けちゃっていることろなど、土地の形状や
街並みを活かそうとする意図はない。公共トイレという『機能のある箱』に
それとは別の、なにか非日常的なイメージを被せようとする発想です。
( 私は、こういった建築を密かに『ファンタジー建築』と呼んでいます。)
つまりこれも 『デザイン』 ではなく 『デコレーション』


日頃、効率性や機能性を突き詰めることを求められる仕事をしています。
ゆえに この2つの作品には違和感がありました。
ただ見ていると、この公共トイレ。比較的多くの方が利用されています。
何気に受け入れられているということでしょう。
これも、確かに建築のひとつの有り様でしょう。

作者の方へのリスペクトは変わりません。







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